下駄

文化

「カランコロン」と音がした方を見ると、浴衣に足元は下駄を履いた高齢の男性がこちらに向かって歩いてきます。大正時代の下駄師「本間ゲタ」さんをお迎えしました。

ゲタさんと共に、日本の下駄について見ていきましょう。

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下駄は日本の伝統的履物で、その起源は「田下駄」という農具であったと考えられており、弥生時代の遺跡からも出土しています。5世紀には農具ではない履物として使われ始め、江戸時代の後半からは庶民一般の履物となりました。

下駄の種類は台の形状で分類できます。
代表的なものに、二本歯の駒下駄、前歯が斜めの千両下駄や後丸下駄、カーブした台の右近下駄、草履型の舟形下駄などがあります。
また、用途によって、晴天用、雨天用、晴雨兼用の下駄があります。雨天用の「高下駄」は、泥跳ねを避けるため歯が高く、接地面積が狭くなっています。

畳表漆塗蒔絵高下駄 たたみおもてうるしぬりまきえたかげた 民俗 / 昭和以降 昭和30年代 木,布,畳表など・蒔絵 長さ22.5cm×横幅10.3cm×高さ13.5cm 2 富山県高岡市古城1-5 資料番号 2-09-5 高岡市蔵(高岡市立博物館保管)

カランコロンという独特の音は日本の夏の風物詩です。かつては日常的に使用されましたが、現代では主に浴衣姿や温泉旅行で見られます。

「わしが学生の時はバンカラと言って、学生服に下駄を履いて学校に通ったものじゃ」とゲタさんは学生時代を懐かしんでいます。

下駄の主要産地は広島県福山市、静岡県静岡市、大分県日田市。長年培われた職人の技が今も受け継がれています。
近年では健康器具としても注目され、特に一本歯下駄が体幹トレーニングに活用されるなど伝統的知恵の現代的再評価が進んでいます。

「わしの生きていた時代から100年経った今でも下駄を履いている人がいて嬉しいよ。下駄を履くまでわからんもんじゃ」
ゲタさんは微笑みながらそう言うと、心地のいい足音をさせながらどこかへ歩き去っていきました。